現代のこどもの育て方 勉強の端末編
塾の講師から始まって早15年教育業界にいます。多くの生徒と接し、受験指導をし、さらに自分も子供二人を育てている経験から申します。
こどもは1日でも長くデジタル機器から遠ざけるのが正しい
こどもが虫歯にならないようにと甘いものをあげてなかったのに、実は義母に飴をもらっていたことが分かり激怒する母親の話、聞きませんか?
私も同じような経験たくさんあります。実母でしたが。
「欲しがってるんだからあげたらいいじゃない。かわいそうに。」と、銀歯と差し歯だらけの実母が孫にチョコレートや飴をあげてしまうのです。
まだ1歳前後で乳歯が生えそろってもない大事な時期に、虫歯の原因を作りたくないのですが、分かってもらえません。公園でハトにえさをあげる人と同じです。その場で自分がえさをやることで相手も喜んで食べてるじゃないか。何が悪いんだ。という感覚なのです。そのハトらが集まりフンをする始末をするわけでもなく、食べ残したえさを掃除するわけでもない。無計画にえさを与えてしまったがために、ハトが繁殖しすぎてしまい公害になる。そういった一連の流れが想像できないのでしょう。
「みんなゲームをしてるじゃないか。なんでうちの子だけできないの。かわいそうに。」そう言ってゲームを与えるのは、こどもに飴をあげるおばあちゃんと同じなのです。
そして、その影響はまだ誰も分からないのです。虫歯以上のことが起こるのかもしれません。
一度タブレットを覚えたら、もうない世界には戻れません。
一度ゲームを始めたら、もうやらない日々には戻れません。
親の私たちができることは、大事な我が子の幼児期から1日でも長く、デジタル機器を遠ざけることなのです。
こどもは原始人である
こどもは原始人です。家をひっかき回して、なんでも触り、壊す。
外に出れば、走って、道路に飛び出し、草をむしり、ハトがいれば追いかける。気になるものがあったら拾って食べる。
そんな原始人にデジタル機器、特にタブレットとスマホは魅力が大きすぎるのです。
ベビーカーやこどものせ自転車でスマホをいじってる赤ちゃんをたくさん見ますが、異様です。
ぐずるから与えるのは分かります。でも甘いものやアルコールよりも依存性が高いかもしれない可能性を少し考えたほうがよいと思うのです。
原始人には何で勉強させたらよいのか
有名なスウェーデン発の書籍にもこどもの教育方法について書かれています。
同じ短編小説の内容を2つのグループに分けて、タブレットと紙のどちらかで読んでもらうという実験。結果は紙で読んだ方が小説の内容をよく覚えていた。
脳がデジタル端末のドーパミン系の報酬に慣れきってしまっているので、文章に集中するよりもタブレットを使っているのに報酬がないことを無視するのに貴重な処理能力を費やしてしまっているのではないか。
つまり、「タブレットを使う=ドーパミンが出るはずだ」と脳が理解している。
それなのに、タブレットで学習をしても興奮するような内容ではない。
となると、脳は困る。そこに脳のリソースを使ってしまっている。だから学習効率が悪い、ということです。
結論。
幼児には紙の教材を与えましょう。結局テストは紙とえんぴつで行われます。
幼児期にどんな教材がおすすめなのか
タブレットの学習がこどもにはよくないことは分かった。ではどうしようか。
くもんや学研に通わせよう!と思う方が多いと思いますが、1教科9000円前後かかります。大量に宿題が出て、やったのやらないだのと親子のけんかの火種が生まれます。他のお子さんとの比較も始まります。
どこまで進んだだの、もう中学生の数学まで進んでるよ、だの。本当にどうでもいいことです。
他人と比較するから不幸が始まるのです。
親の自分が他人と比べるのは自由ですが、こども同士を比較するのはおすすめしません。
わざわざそのような比較や競争の場に足を踏み入れるのはやめましょう。競争を仕掛けて、不安をあおるのが、民間の教育産業の根底にはありますので、うまくはめられてしまいます。そのまま、中学受験ルートに入れられるでしょう。そうするともっと熾烈な競争社会に大事な我が子を投入することになってしまいます。
幸せな子供時代を送らせてあげませんか?
タブレット教材の罠
幼児の教育では、進研ゼミやZ会も、選択肢に入ると思いますので注意点を書いておきます。
Z会の方が比較的中立ですが、進研ゼミはタブレット押しですね。
そういう、我が家も進研ゼミのタブレット学習を1年ほど受講しました。理由はこどもがタブレットの方がよいと言ったからです。
届いてみたら想定外の無駄がたくさん発生しました。
進研ゼミのチャレンジタッチ使ってみた本気レビュー(酷評)
1.無駄なコンテンツがてんこもり
ゲームや遊びコンテンツが目白押しの進研ゼミ。
勉強コーナーがどこなのか探す方が大変という状態です。
まさに、年に数回届くDMと同じ。大量のちらし、企画、サイズのちがう販促物とマンガ。これらがどっさり封筒に入れられている。あれのデジタル版なのです。
もはや勉強コンテンツはおまけ程度の勢いでした。
2.起動に時間がかかる
毎月25日に教材をダウンロードするのですが、これが30分はかかります。勉強しようかなと思ったのに、やる気をなくすのに十分な待ち時間でした。無駄なコンテンツが多すぎるのではないでしょうか。
さらに、毎回の勉強のたびに電源を立ち上げるのですが、軌道には30秒以上かかります。これって、毎日だからイライラします。スマホを使うたびに30秒待たされると思ってください。使う気なくしますよね。
タッチペンも使い勝手がえんぴつよりもいいわけありません。
なぜこの勉強教材を、こどもの教育何十年の進研ゼミがやってしまうのでしょうか。
考えられる点
- デジタルで配布したほうが安い
- 添削も簡単で安い
- 広告もタブレットを経由して行えるため便利
すべて、進研ゼミ側のメリットです。
では、ユーザー側のメリットを考えましょう。
- タブレットなので、勉強が嫌にならない。
- 間違えたところもすぐに動画で説明を受けられる。
- 紙の管理をしなくて済む
ゲーム感覚で勉強ができるのが一番のメリットでしょう。遊びの感覚で勉強できてしまえばそれでいいじゃん、です。しかし、勉強とはそんなものなのでしょうか。ゆっくりと体系的に学び、分からなければ考えて自分で解決していくことが勉強なのではないでしょうか。
紙の管理をしなくて済むのは助かりますが、これは親の都合です。実際にタブレットで勉強されてしまうと、親はこどもがどうやって解答を導いたのかその過程を見ることができませんし、間違えた箇所自体も分かりづらい作りになっています。勉強している間ずっと横で付き添える状態であれば別ですが、現実的ではありません。
3.間違えた問題の場所と理由を親がみつけられない
タブレット系学習コンテンツの最大のデメリットはここです。
・どこを間違えたのか、親がわからない。
・間違えるまでの思考の軌跡がみえない。
結果、こどもは適当に丸やバツをつけて、間違っていたらやり直しの動画を流し見して、「終わった~!」となるのが関の山なのです。
集中力を鍛えたい一番大事な時期に、タブレット学習は本当におすすめできません。幼児にタブレット学習は向かないのです。
結局こどもに何を勉強させたらよいのか
一応家庭学習を全くしないのも問題なので、以下をおすすめします。
ひと月990円のドリル教材です。
毎月ドリルが届きます。親が本屋でドリルを選ぶ必要がなくなります。これで十分です。内容もよくできています。
勉強は自分のためにするものである
最後に、勉強というのはこども自身の課題です。親が代わりにすることはできないのです。勉強しようがしまいが、それはこどもの問題なのです。
無理やり勉強をさせても全く意味はありません。ないどころか、親子関係を悪くするだけです。
高学歴な保護者は自分の成功体験を振り返り、早めの学習をこどもにさせたがりますが、子供のころの勉強ができることなんか、長い人生で考えれば誤差の範囲です。
人間の個性を勉強だけで計る時代はもう終わっています。勉強ができたから高収入になるわけでもありません。
そんなに勉強したいなら、親である自分が勉強しましょう。お金も時間もあるではありませんか。そんな親の背中を見て、子供は勉強をしはじめるのです。
こどもにはこどもの人生があります。無理やり古い自分の価値観に閉じ込めて、詰め込み勉強をさせるのをやめさせましょう。
こういったことは教育業界では決して言われません。そんなことを言っても儲かりませんからね。
知らない人が何かを売ってきたら、怪しいと思いましょう。子供に質の良い学習環境を与えたいのであれば、自分が本をたくさん読みましょう。そして、その本を家にずらっと置いてください。子どもが気が付けば手にとれるところに。
行きたくもないドリルをやらせたり、きつい塾に行かせることは、いいことをしているようですが、ほとんど子供のためにはなっていません。
また、別で塾の害については書きたいと思います。